【覚え書き】「今話題の人気アニメ『おそ松さん』のファンについて物申す」という動画を視聴して

「今話題の人気アニメ『おそ松さん』のファンに物申す」という動画を制作されたグルさんという方から動画を見て感想を教えて欲しいというコメントを頂きました。

早速視聴してみました。こちらの動画です。

ちなみに私も「腐コメ」については少し前に書いた記事で簡単にですが言及しました。

昨夜、とある作品の関連動画を視聴していたところ「●●可愛い」というコメントに続いて「←腐マンコ死ね」というコメントが流れてきたのを見た。ニコニコ動画においては「●●(男性キャラクター名)可愛い」というだけのコメントも「腐コメ」として忌み嫌われる傾向が初期からあった(というのが私の実感だ)。男性を「可愛い」と評すのが腐女子の傾向だと認識されているのではないかと私は推測してきた

(中略)

男性同士の関係を匂わせるものでない「●●可愛い」というコメントでさえ忌み嫌われていることが長年疑問だった。しかし、「BLの表現において男性らしさを抜き取られ、女性のように描かれている男性の表現について嫌悪を覚える」といった意見を耳にしたことで、「可愛い」という、本来女性に対して使用すべき(だと思われる)表現を男性に用いることは、男性に女性的な要素を付与しようとする態度を示すことである、という考えを持っている人がいるのではないかということに思い至った。だから男性への「可愛い」という単なるコメントも「腐コメ」とみなされることがあるのではなかろうか。

「←腐マンコ死ね」だけ取り上げると腐女子そのものが嫌われているように考えられるが、「可愛い」を「腐コメ」と感じる原因は腐女子そのものにあるわけでなく、「女性的に描かれる男性の表現」への嫌悪にあると考えたほうが良いように思われる。

サービス開始当初からニコニコ動画を利用してきたけれど「腐コメ」については「家庭教師ヒットマンREBORN!」の人気が高まっていた2007-2009年頃の方が今よりよほど多かったように思う。性別や年齢問わず幅広い層に人気の出た作品の関連動画で「腐コメ」を見る機会は随分減ってきた(あくまで一個人の感想である)。

その「腐コメ」で荒れがちだった2007-2009年頃には「腐コメ自重」とユーザーがタグを付けて「腐コメ」をしないよう注意喚起する慣習が存在していた。ニコニコ動画で「腐コメ自重」と検索すればその頃投稿された動画がヒットする(やはり「家庭教師ヒットマンREBORN!」の関連動画が多い)。

もし「おそ松さん」の動画を視聴する一部のファンの態度に強い不満を覚えるのであれば「腐女子のおもちゃ」などと腐女子に対するヘイトを撒き散らすことはせず、こういうタグを活用した注意喚起を行うのがよいだろう。

存在そのものを非難するのではなく問題のある態度や言動を非難するようにするだけでこういう醜い争いごとは避けられるようになると思うのだけど、私の見当違いだろうか。

他の視聴者に不快感をもたらすとされる「腐コメ」に「●●可愛い」が含まれていることの理由について「『腐コメ』の範囲が「●●可愛い」にまで及んでいる原因として腐女子が好んで用いてきた表現に対する嫌悪があるのではないか」という持論を展開しました。

また、年々「腐コメ」が深刻化したわけでなく残念なことに昔から「腐コメ」は見られていたこと、そういったコメントを行わないよう注意喚起する慣習もあったことを長年利用した一人のユーザーという立場から示しました。

このような考え方をふまえて先の動画への感想を述べていきたいと思います。

まず「●●可愛い」や「カップリング名」などのコメントで公式動画のコメント欄が埋め尽くされている状況があったとの事実が紹介されていました。これについてはタイミングの問題なのか、私がニコニコ動画で公式動画を視聴しているときには確認できなかったことで、大変残念なことでした。

動画でグルさんが提案しているように、「●●可愛い」といったキャラ単体への愛を叫ぶだけのコメントも住み分けが必要な段階にきているのかな、というように私も考えることがあります。それで公式動画が埋め尽くされるという状況は決して好ましいものとは思えません。ただ、それと同時に「公式動画で視聴者のほとんどから許されるコメントの範囲ってどこまで?」という疑問も生じます。このあたりが明確でないため、「誰かが不快に感じるようなコメントは自重しようね」といくら注意をしたところで「は!?なんで私たちばっかり自重しろって言われるの!あの人たちも同じでしょ!」といった具合に反論されることがあります。これは私自身が中学生の頃にマナー動画を作って投稿した際、もっとも多く寄せられたコメントです。要するに「女オタクばっかり声小さくしろって言われるんですけど」といった不満が必ず出てきます。グルさんも後半で触れているように、ごちうさ動画などと比較するといいと思います。ごちうさ動画を視聴しているときに「キモオタ自重しろ」というコメントが流れてくるのを私は見たことがありません。男性キャラクターへの「●●可愛い」というコメントに対して「腐マンコ死ね」というとてつもなく過激なコメントが流れてきたのは見たことあるんですけれども。

というわけで男性キャラクターへの「●●可愛い」というコメントについては、これを挙げて「自重しようね」と注意すると余計に対立構造が深まって事態が悪化することが考えられますので、腐女子に限った問題としてではなくてユーザー全体のマナー問題として取り扱うのがよいでしょう。公式動画ではどこまでコメントしていいのか、ユーザー全員で議論すべきです。事態の改善を腐女子サイドの自浄作用だけに頼るのはもう不可能です。長年取り組んできたけど無理でした。

ちなみに例に挙げられている銀魂ですが、今はだいぶマシになっているというだけで昔は「おそ松さん」と匹敵する程度には変なコメントが多かった、と腐女子でありニコ動ユーザーとしての私の個人的な実感から述べさせていただきます。落ち着いている理由として考えられるのは新規ファンの参入が以前よりも減り、長年この作品を愛好するファンの年齢が上がっていることが挙げられるかと思います。

何度も書いているとおり「おそ松さん」はギャグアニメとして非常に優れた(←これも私の感想にすぎませんが)作品であり、そのために性別・年齢を問わず多数のファンに支持されている作品であることを見落とすことがあってはなりません。「おそ松さん」という作品を愛するファンとして「おそ松さん」という作品およびそのファンへの誤解が深まることは避けたいです。

「おそ松さん」の動画が荒れているのは「腐女子に人気が出た」からではありません。性別・年齢を問わない多数のファンが生じているからこそ勢いよく荒れてしまいました。異なる思想や立場の人間が一堂に会して議論をすれば話がなかなかまとまらないのは当然のことです。であるのに荒れた原因をファンの中の一部でしかない腐女子の言動にだけ求めてしまっては事態が収束に向かうことはないでしょう。何度も言うように全体のマナー問題として考えていこうね、という姿勢で語りかけるのがおそらくいちばん無難です。

私としては「腐コメ」も「腐マンコ死ね」もどっちも不愉快だからやめてほしいな、って。

 

それから私の書いた記事のブックマークコメントに「昔の腐女子はもっとちゃんと自重してた。隠れてた」というような内容が確か複数件寄せられていたと思うのですが、これについては「作品投稿SNS利用者の急増」という事情をふまえた上で、やっぱり腐女子のマナー問題と決めつけてかかるべきでないという見解です。状況が変わっているので昔とまったく同じようにやっていくことには限界が来ています。では今後どうSNSサービスを利用していくべきか、そこをすべてのユーザーで議論し合う必要があるのではないでしょうか。

スポンサーリンク