カラ松と一松はどこか似ている

「一松事変」についてまだ書きたいことがたくさんあるのだが、今回はすこし「箸休め」的に一松・カラ松について過去の話から簡単にその類似点について整理し、まとめる記事を更新することにした。これまでの記事でも触れたことを再び取り上げているので内容には重複している箇所もみられるが、ご了承頂きたい。

カラ松と一松を観察して~2話・8話の描写から~

「カラ松と一松の二人が(6つ子の中でも)どこか似ている」ということについては、私の思い込みでも妄想でも願望でもなく、実際にアニメ本編の中でたびたびそのような描写を見ることができる。これまでのブログでも指摘はしていたが、今回は参考画像を引用することでもって再び確認をしておきたいと思う。引用しているのはテレビアニメ2話・8話の一場面だ。

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▲第2話Aパート「就職しよう」より。カラ松・一松はこの場面ではビールを飲んでいない。(参考画像はテレビアニメ「おそ松さん」Ⓒ赤塚不二夫/「おそ松さん」製作委員会より)→公式サイトはこちらから

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▲第8話Bパート「トト子の夢」より。交差させた手に注目するとカラ松と一松の二人は他の4人とは上にする腕が逆になっている。(参考画像はテレビアニメ「おそ松さん」Ⓒ赤塚不二夫/「おそ松さん」製作委員会より)→公式サイトはこちらから

手のクロスのさせ方については作画ミスの可能性も考えられなくはないが、2話の飲み物についてはある程度意図的に描き分けを行ったのではないかと私は考えている。というのも7話Aパート「トド松と5人の悪魔」ではジョッキに入った飲み物しか描かれていないからだ。2話での居酒屋の場面では「俺は信じてるぜ」と兄弟でただひとり一松への期待を述べたカラ松が一松から掴みかかられる様子を描くことで一松がカラ松に対して言葉をほとんど用いない、暴力的にも思える方法でのコミュニケーションを図る役どころであることが示される。その場面で、兄弟でこの二人だけが別のサイズに入った飲み物を飲んでいるという状況は無視できない要素であると思われるのだ。

作画ミスの可能性も考えられなくはないとした8話の描写も、私としては意図的な「細工」だろうとみている。というのも同じ8話で放送されたAパート「なごみのおそ松」において、兄弟の中でカラ松・一松の二人だけが聖澤庄之助に命を奪われているからだ。カラ松は「なごみのおそ松」の物語の舞台となる屋敷の主人であるため、物語の起点として殺害されるのは残念ながら必然的だといえよう。しかし、一松はただただ怪しげなオーラを放っていただけで、あとは殺害されていた姿がダイジェストのように一瞬だけ流れるだけである。兄弟の中でこの二人だけが前半部分で殺され、後半部分ではこの二人だけが同じ動きをとってみせる。私にはこれが意図的に共通点を持たせようとしているように思えてならなかったのだ。

「おそ松さん」ではたびたび6つ子から離れた設定での物語が展開されるが、このような物語もまたそれぞれのキャラクターの理解を深めるのに活かすことのできる要素だと私は考えている。

たとえば「なごみのおそ松」と15話Aパート「面接」では、兄弟に振り分けられた役どころに類似がみられる。カラ松は屋敷の主人と社長、つまり富を持つ者として描かれているし、一松はどちらの物語でも最後まで何者なのかよくわからないまま退場してしまう。またトド松は常に誰かを補佐するような立場、おそ松・チョロ松はある程度気心の知れた同業者・同僚として描かれていた。今後も何度か6つ子から離れた設定での物語が展開されるだろうと思う。こうした物語にも着目する視点を持って考察をしていきたい。

逆ナンされ待ちのカラ松

一緒におそ松さんを視聴している彼氏と居酒屋でお酒を飲み交わしながら話していたことなので考察というよりはファンとしての感想・解釈としての色の方が強くなるのだが、興味深い指摘だったので今後のために一度まとめておこうと思う。

彼氏曰く、カラ松が「逆ナンされるのを待つ」という態度をとるところから一松との類似性を指摘できないかということだった。つまり、「自分からは人と距離を縮めようとしない」一面が現れている点だとみなせるのではないか、と。

カラ松はカラ松ガール(仮)が自分を「尾崎(豊)みたい」と評価し、声をかけてくれるのを夢想し、ただひたすらに待ち続ける。自分に自信があるナルシストの面を持つ一方で、その自分が話しかけた結果として拒絶されることを恐れている、ゆえに話しかけられるのを待つという態度しかとれないのではないか。そしてその意味では「怖いんだよな、人と距離を縮めるのが」と内心で考えている(5話Bパート「エスパーニャンコ」より)一松と似ているのではないか。

カラ松は15話のフラワーに対しても住所を教えて来訪を待つ、という態度をとった。花の精が人の形をなして自分のもとに自ら来訪できるように住所を語りかける。これはカラ松ではないととることのない行動だったのではないか。他の兄弟だと花が人の形をなすまで足繁く通いそうな気がする。

 

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