松野家の6つ子のファッションアイテムからみるそれぞれのキャラクター①

【当ブログのアニメ考察記事を読む前の注意】
当ブログのアニメ考察記事は、アニメ制作側の意図に関わらず「こういう読解も可能ではないか」という一個人の考えを記述したものにすぎない。ゆえに「制作側の意図から外れた考察記事を掲載するな」という要求に対しては一切応えないものとする。これを踏まえたうえで各人の「自己責任」で当ブログの考察記事を楽しんでいただければ幸いである。

 

さて、今回はテレビアニメ「おそ松さん」の登場キャラクターたちの「ファッションアイテム」に注目することで兄弟それぞれのキャラクターについて何か読み取れることはないか考えてみることにする。なお、この考察記事の筆者である私ことyurico15(ゆりこ)は「おそ松さん」が放映されていないド田舎で生活しているため、この考察は8話視聴時点でのものであることをご了承頂きたい。

では早速見ていこう。まずは前回の記事でも大きく取り上げたこちら。

松野カラ松のバスローブ

7話視聴時点での松野カラ松のバスローブに関する私の考えは前回の「おそ松さん」考察記事でまとめている。

その後、8話を視聴したところAパートでもBパートでもバスローブを着ている松野カラ松が確認できた。そこで前回の考察に付け加える形で松野カラ松が女性のようにバスローブを着ていることから読み取れることがないか考えることにした。

結論から言えば、松野カラ松の性格およびその行動パターンとバスローブを女性の着方で身につけていることに関係性があるのではないかということに思い至った。

女性がバスローブを着て異性の前に姿を現すという場面を想像していただけるとわかるかと思うが、このようなシチュエーションで姿を現した女性というものは一般的に(余程の事情でもない限り)「その後の出来事を抵抗なく受け入れる」だろうと推測される。では、このことからバスローブを女性のように身に付けて登場する行為そのものに「その後の出来事を抵抗なく受け入れる」という意味を与えて読解することができるのではないか。そのように考えた上で松野カラ松の性格とその行動パターンを振り返ることにする。

松野カラ松という男は、松野一松からバズーカ砲で撃たれようが殺すぞクソ松と罵られようが特にこれといったリアクションを返すことはせずただただされたこと、言われたことを受け止めるだけの男である。他の兄弟に対してもそうで、たとえば「うるさいから眠れやしない」というような理由で鈍器(に類するもの)を投げつけられることがあったとしても松野一松との扱いの差についてただ一人叫ぶだけで兄弟に直接怒りをぶつけるという場面はなかった。また弟のために子守唄を歌おうとして無視されることがあっても「え」と呟くだけで「俺の歌を聞けぇえええ」などと訴えかけたりはしなかった。

8話Aパートにおける松野カラ松(バスローブ着用)は、犯人によって背中を包丁で刺されて即死している。この状況から、まったく抵抗することができないまま殺されたものと推測される。また8話Bパートにおける松野カラ松(バスローブ着用)は弱井トト子の必殺ボディーブローを二度も食らっているが、いずれの場面も抵抗する間さえ彼には用意されていなかった。

松野カラ松は大した抵抗をすることもなく何事も受け止めてしまう側面を持った(あるいはそういう役割を与えられた)キャラクターであり、その彼が頻繁にバスローブを女性のように着こなして登場することにはその役割を強調する効果があるのではないか。

 

松野一松のマスクと松野十四松のつなぎの着方

次はこちら。通称「数字松」というコンビ名でお馴染みの二人。共通点は「口元をすっぽりと覆い隠す」格好をする場面を時折見ることができる、ということ。この二人の「口元をすっぽりと覆い隠す」ファッションについて読み解く鍵は5話Bパート「エスパーニャンコ」の回にある。友達がいない(作っていない)松野一松のために、松野十四松が「猫と話せる薬」がないかどうかデカパンに相談している場面で、次のようなやりとりが出てくる。

十四松:この一松兄さんはね、ぜんぜん友達がいないんだ。
一松:いないんじゃないよ。作ってないだけ。
十四松:だから、あの猫と話せるようになればいいなあと思って。
一松:…余計なお世話。自分だってまともに人と会話できないくせに
十四松:言うよねー。

テレビアニメ「おそ松さん」第5話Bパート「エスパーニャンコ」より

このやりとりから、松野一松が自分自身と弟の松野十四松のことを「まともに人と会話できない(あるいはしようとしていない)」人物だと理解していることが読み取れる。単に一松がそう理解しているというだけでなく、この「エスパーニャンコ」の物語全体を通じて松野一松・松野十四松の両者ともに「本心を口に出して会話することを苦手としている人物」である点が丁寧に描き出されている。エスパーニャンコを通してそれぞれが「ごめんね」「俺もごめん」と謝る場面では感動のあまり思わず涙した方もいるかもしれない。数字松コンビの口下手で不器用な兄弟愛を伺い知れる名場面だ。

こうした二人のキャラクター性を象徴しているのが口元をすっぽりと覆い隠しているファッションにみられる、と私は考えている。つまり口周りを覆い隠した格好に「本心を言葉にして口から出すことができない(あるいは躊躇ってしまう)」という二人の性格がそのまま現れていると私は理解している。

ネタバレ情報を軽く読んだところ、テレビアニメ9話では松野十四松のつなぎの着用の仕方が変わっていたようだ。ここまでの考えを踏まえると、それは「本心を口に出す」という大きな変化が松野十四松に現れたということを示しているのではないかということになるのだが、まだ9話を視聴できていないのでこれ以上の言及は避けることにする。ただ少しネタバレを読んだだけでもそういう考え方ができそうだと思えたのでここで合わせて触れた。

 

次回の記事でも引き続きファッションアイテムから6つ子のキャラクターを紐解いていく予定だ。

 

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