なぜBLは嫌われるのか~男性へのまなざしという観点から~

「おそ松さん」の人気について思うところを書きなぐってみたこの記事がホッテントリ入りしてしまった。

「言い訳は聞きたくない。腐女子ってだけできもいからいっぺん死んでこい」などと言われることを覚悟の上で書いたが、そんなことはなかった。それどころか興味深い指摘もたくさん寄せて頂けた。有難いことである。

特に、多くのスターを集めているこちらのブックマークコメントが気になった。

腐女子からみる「おそ松さん」人気の理由~声優は“入口”にすぎない~ - だれも知らない

そも、BLを嫌うのがよくわからん。艦娘がキャッキャしてるのはアリで、松と松が鍋つついてんのはダメなのか。「仲が良くて温かい」のを愛でてるだけでしょ。エロスは場を弁えて、って思うけれど。

2015/11/12 12:00

「松と松が鍋つついてんの」という表現に大変な趣深さを覚えた。松野家尊い。

ということはひとまずおいておく。
私もこれと同じ疑問を、百合描写を愛好する彼氏にぶつけたことがある。彼は言った。「男性の中に、男性性を嫌悪するまなざしを持っている人がそれなりにいるからだと思う」

「自分も男性であるにも関わらず男性性を汚らわしいものと考えて嫌悪する」という考えを持っている男性を何人も見てきた、と。

そう言われてふと、「気持ちの悪い(見目の悪い)男性が女性を蹂躙する」という流れで描かれるアダルトコンテンツが想起された。まあこれだけで男性性を汚いもの、嫌悪の対象と理解する男性がいることと関係していると言い切るのは強引にも程があるのであくまで可能性の話に留めておくけれども。

というかこれだけだと「ふたなり」というカテゴリーを説明できない。もっと別のところに理由はある気がする。男性諸君からの意見求む。

私の彼氏は私と違ってまったくといっていいほどに性欲がないので性描写や性的消費に関わる有用な意見があまり期待できない。ある時、「もう疲れた。紗倉まなさんのおっぱい揉みたい」などと発言したところ「紗倉まなさんて誰よ」と返されたことがあり、ひっくり返るほど驚いたことがある。

ごほん。閑話休題

とりあえずBL表現が嫌われる可能性のひとつとして「男性性を嫌悪するまなざしを持つ男性からすると気持ち悪く感じる表現だから」という理由をまず挙げておく。

まだ考えられる理由はある。

男性にとって、自分が性的に消費される(性的なまなざしを向けられる)かもしれない、という恐怖を感じる表現だから」。こちらのほうが理由としては大きいのではないだろうか、と私は勝手に推測している。

女性には「自分たちは男性から性的に消費されてしまうのだ」という立場を甘んじて受け入れている人が残念なことに多いのが実情だと思う。痴漢の被害に遭っている女性は男性が思っているより恐らくずっと多いからだ。私も通学中に何度も被害に遭った。コスプレイベントに熱心に参加していた頃は盗撮されたり身体をいきなり触られたりもした。被害を訴えると「じゃあコスプレなんか趣味にするな」と罵られるので、ある程度は仕方ないなどと考える癖ができてしまった。

幸いなことに、男性の多くは「性的に消費される」という感覚が理解しにくい環境に身を置いてくることができたのだろうと思う。そういう人にとって、「自分もこういう風にまなざされるのでは」という恐怖を掻き立てるBL描写は不気味なものと感ぜられるのだろう。

これと似た視点から、「性的なものに対して積極的な姿勢を見せる女性そのものが苦手だから」という理由も考えられる。女性は性的なものに対して消極的な方が好ましいという考え方はある程度支持されているように(少なくとも女性である私は)感じている。「オーイエーアハーン」と「ダメよ~、ダメダメ!」では後者のほうがウケをとりやすいのが夜のエンターテイメントというもの。実際、後者のほうが私の彼氏にはウケた。

 

ここまで、なぜBLが嫌われているのか「男性から男性、あるいは女性から男性へのまなざし」をベースにしてその理由を考えてみた。あくまで女性、それもBLを愛好する腐女子という立場から書いたものなので「いや、お前ぜんぜんわかってないな!」という点も散見されることと思う。随時指摘していただけると嬉しい。特に男性からの意見を伺いところ。

前回の記事が思いがけなくヒットしてしまったことで、読者登録数も増えた。今後どんな記事を書く事を期待されているのだろうと戦々恐々としながら今もこの文章を書いている。腐女子としての視点から思うことをこれからも綴っていけばいいのだろうか。

もし「●●について書いて欲しい」という要望があれば、この文章を書いているのが22歳の腐女子であるという事実をふまえたリクエストを頂けると非常に助かる。なんでも聞いてね。

 

【13日19時追記】

この記事に対して寄せられたブックマークコメントの一部を上記の記事で紹介した。よければこちらもどうぞ。

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